とみー珈琲物語– category –
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フードペアリング小説
浅井爽太は珈琲でも飲みながら休憩しようと軽い気持ちでカフェに入る。 一見ふつうな内装のカウンターには五人の女性キャストが並んでいた。 ここは合コンカフェ(コンセプトカフェ)だったのだ。 混乱する浅井颯太に初老の店長が店の説明をする。 このカ... -
合コンカフェ
コンセプトカフェ。 メイドカフェなどに代表される、お店自体が一貫したテーマ、世界観によって作られるカフェ。 【コンセプト】を体現するカフェテリア、略して"コンカフェ"とも呼ばれている。 メイド、アニメなど、サブカル的なイメージを伴う形態が... -
浅井爽太のご注文
「ドライフルーツなら太らないし、ダイエットにもなるんじゃない? それ食べとけば?」 爽太の前には、いつものみずみずしいフルーツや食事系パンの姿はなく、乾いた食べ物が置かれている。 ドライフルーツ。 乾燥した果物。 フルーツを日持ちする... -
ドライフルーツの想い出
「ドライフルーツなら太らないし、ダイエットにもなるんじゃない? それ食べとけば?」 爽太の前には、いつものみずみずしいフルーツや食事系パンの姿はなく、乾いた食べ物が置かれている。 ドライフルーツ。 乾燥した果物。 フルーツを日持ちする... -
クリームチーズの失敗
「クリームチーズは水分が多くてあっさりしてるから、浅煎りのエチオピアともよく合うんだよぉ」 浅井爽太の座るテーブルには、いつも通りのエチオピア珈琲と……なにやらちんまりした白い塊が、いくつか置かれてある。 その塊のひとつを摘んで口に放り... -
サンドウィッチゲーム
「サンドウィッチって、どうしてできたか知ってる?」 机に乗り出してゲーム機をポチポチ弄りながら、一切やる気を感じさせないトーンでお客様に質問を投げかけるこのちっこいキャストは、『スウィッチ』ちゃん。 大好きなゲーム機から取って源氏名を... -
アップルパイの間接キス
「『as American as apple-pie』ってことわざがあるくらい、アメリカでアップルパイは食べられているのヨ!」 テーブルの上には、焼き立てのアップルパイと淹れたての珈琲。 カウンターには、日本人離れした青い瞳に金髪の髪を靡かせた、ハイテンショ... -
フルーツタルトの嘘つき
「フルーツタルトは浅煎り珈琲に合うんですよ。それに色んなフルーツの味を楽しめるから、最後まで飽きがこないんです」 頭に大きなリボンを巻いたキャストはそう説明をしてくれながら、お皿とコーヒーカップを運んでくれる。 この子は『タルト』とい... -
ここでなら缶コーヒーでも美味しいよとか言えば、きっとあなたは怒るかな。
「うん、美味しいよ」 口紅の付いたカップを置きながら、唯実(ゆみ)は笑う。 「当たり前だろ。俺が淹れたんだから」 唯実の言葉を受け、テーブルを挟んだ向かい側に座る男は、自信たっぷりに言い放つ。しかし言葉とは裏腹に、その声色には、ほっとし... -
試験前夜
その争いは、混沌の様相を呈していた。 「絶っっ対、ブルンジだろ! 頭痛いときには、これがいちばん飲みやすいんだよ!」 茶髪の彼は、右手で頭を抑えながら大声を出し、左手では珈琲豆の入った袋を突き付ける。 ブルンジとは、珈琲豆の生産国のこ...