ケニア産のコーヒーはここ数年で、スペシャルティコーヒーの店を中心に格段に人気が上がってきました。
多くのカフェでケニア産のコーヒー豆を提供しているのを目にしますし、実際にケニアが好き!という声もよく聞きます。
ケニアといえばフルーティーな酸味というイメージが強いかもしれませんが、フルーティーさだけではないケニア本来の魅力を見ていきましょう。
ケニアコーヒーとは
ケニア産のコーヒーはさっぱりとした口当たりとフルーティーな酸味と甘みのバランスで、エチオピアやルワンダ、ブルンジなどフルーティー系の豆が好きな人を中心に人気の豆です。
しかしその生産量はコーヒー大国である他の国々と比べるとさほど多くはありません。
にもかかわらず、スペシャルティーコーヒーの世界に名を連ねているのは何故なのでしょうか。
そもそもケニア共和国とはどんな国?
ケニア共和国はアフリカの中央部に位置し、エチオピア、ウガンダ、タンザニア、ソマリアなど多くの国と国境を接しています。
また赤道直下、いわゆるコーヒーベルトに位置しています。
コーヒーはもちろんお茶の栽培なども積極的に行なっています。
面積は日本の約1.5倍ほどと、さほど大きくはありませんが、首都のナイロビは「東アフリカの玄関口」と呼ばれ、経済の中心地として大きな役割を果たしています。
ケニアコーヒーの歴史
ケニアコーヒーの歴史はその他のコーヒー大国に比べると浅く、19世紀末から始まったと言われています。
その歴史は諸説ありますが、1890年代にカトリックの宣教師によって持ち込まれたという説。
また、当時ケニアを植民地としていたイギリス政府によりコーヒー栽培が導入・推進されたという説が有力です。
どちらにしろ19世紀後半と他国に比べてかなり遅めのスタート。
にわかかわらず、ケニア産のコーヒーが高いクオリティーで世界に名を知らしめているのは、他国に比べてかなり早い段階で「コーヒー研究財団(Coffee Research Foundation)」という研究機関を作り、最先端の農業技術や豆の品種などの研究に注力してきたことが上げられます。
コーヒー研究財団ではコーヒーの栽培だけでなく、その後の精製方法や販売方法などコーヒーという産業を総合的に分析し、産業に還元できるように勤めています。
ケニアコーヒーの栽培環境や生産地について
ケニアはコーヒーベルトとも言われる赤道直下に位置していることから、コーヒー栽培に適した条件が多くあります。
また、ケニア中央部にはケニア山と呼ばれる標高の高い山があり、コーヒー栽培は主にこのケニア山周辺の高地で行われています。
ケニア山周辺は標高が1500〜2000m程と高く、昼夜の気温差が大きいのが特徴です。
また水はけがよくコーヒー栽培に適していると言われる火山灰質の土壌をもちます。
年に2回も雨季があることから降水量も十分に確保できるという好条件が揃った土地です。
ケニアコーヒー豆の等級について
ケニア産のコーヒー豆のグレードは、主にスクリーンサイズ(豆の大きさ)によって7段階に分類されます。
スクリーンサイズ18以上のサイズの大きいものから順に下記のような区別です。
- AA
- AB
- C
- E
- TT
- T
- ピーベリー(希少種)
Eはエレファント豆という極端に豆のサイズが大きい欠点豆を指します。
TTとTはサイズが極端に小さい豆や不完全豆、割れ豆などを含みます。
逆にピーベリーは本来、コーヒーの実の中で二つになるはずだった豆が一つの丸い豆として出てくるものです。
風味が濃厚な希少種として高値で売買されます。
ケニアコーヒーの味わいや特徴とは?
ケニア産のコーヒーはフルーティーな酸味と甘みが最大の特徴。
桃やオレンジなどに例えられることの多いジューシーなフルーティーさがあります。
酸味も爽やかできつすぎません。
また、苦味はかなり控えめです。
レモンピールやオレンジピールなどに例えられるような程よい苦味がある程度。
サードウェーブコーヒーの台頭によってエチオピアの豆が好きという人は多いですが、そういう方にはケニア産のコーヒーも非常におすすめです。
また焙煎度合いによっては、フルーツ感と合わせてレモンバームやローズマリーのようなハーブのような香りがあったり、チャイのようなスパイシーさがあるものもあり、豊かなアロマが楽しめます。
ケニアコーヒーのおいしい飲み方
ケニア産のコーヒーは、比較的どのような飲み方でも楽しむことができます。
豊かなアロマとフレッシュな酸味を損なうことなく楽しみたければ、ドリップやフレンチプレスなどがおすすめです。
最近は浅煎りのエスプレッソも人気が出てきていますが、浅煎りのケニアで入れたラテはキャラメルのような甘さと香ばしさ、苦すぎない口当たりの良さがあり、コーヒーが苦手な人にもおすすめです。
ミルクティーのようなクリーミーさと香り高さが楽しめます。
ケニアコーヒーの2面性のある味わいを体感しよう!
ここ数年で急激に知名度を上げてきたケニア産のコーヒーですが、そのクオリティーはお墨付きです。
ケニア産のコーヒーといえばフルーティーさや酸味を思い浮かべる人も多いかと思いますが、焙煎度合いが高いものは酸味が抑えられてしっかりとしたコクとアロマが出てきます。
飲み方や焙煎度合いの違いでかなり印象が変わるので、機会があればぜひ飲み比べてみてください。