コーヒー豆の品種は大きく
- アラビカ種
- ロブスタ種
- リベリカ種
という三大原種に分けることができます。
「パカマラ種」はアラビカ種の一つの品種で、人工交配によって生まれた希少品種です。
豆の粒がとても大きく、フルーティーさとコクのバランスが非常に良いことで知られており、スペシャルティーコーヒーの世界でもにわかに人気が出てきています。
コーヒーの品種「パカマラ」とは
「パカマラ種」はコーヒー豆の生産地として有名なエルサルバドルで人工交配により開発されました。
もともと「パーカス(Pacas)」という品種と「マラゴシッペ(Maragogype)」という二つの品種があり、それを掛け合わせて作られたため二つの品種名からとって「パカマラ(Pacamara)」と名付けられました。
「パーカス」は病気や害虫に強く、一般的なアラビカ種に比べて収穫量が多いのが特徴です。
一方で、「マラゴシッペ」という品種は、コーヒーの豆の粒がとても大きいことで知られており、味が濃厚で品質がとても高い品種です。
しかし、一回の収穫量が少なく、さび病などの病気に非常に弱い品種です。
また、木の背丈が他の種よりも高いことから、収穫に手間がかかるというデメリットがありました。
この二つの品種のメリット部分を最大限に引き出せるように、人工交配されて生まれたのがパカマラという品種になります。
パカマラの生産国は
パカマラはもともと、エルサルバドルで開発された品種ですが、その後、生産性の高さと品質の良さから、エルサルバドル周辺のグアテマラやホンジュラス、ニカラグアなどを中心に、各国に広まっていきました。
エルサルバドルはもともとコーヒーの品評会等でも上位に輝くことが多いコーヒー大国でしたが、パカマラの栽培が進んで以降、カップ・オブ・エクセレンスに頻繁に名を連ねるようになりました。
パカマラ種のコーヒー豆の歴史
パカマラ種は1958年にエルサルバドルにあるエルサルバドル国立コーヒー研究所で「パーカス」と「マラゴシッペ」という品種の人工交配によって誕生しました。
「パーカス」は1949年にエルサルバドルにあるパーカス家が保有していたコーヒー農園で、ブルボン種の突然変異種として生まれました。
「マラゴシッペ」は1870年にブラジルで発見された品種で、アラビカ種のティピカから派生した品種になります。
前述のような理由から、この二つの品種が掛け合わされて、現在では中央アメリカを中心に広く栽培が行われるようになりました。
バカマラ種の栽培環境について
パカマラ種の栽培環境は国によって差がありますが、基本的には生産性が高く様々な栽培環境に適した豆と言えます。
他の品種同様、比較的高地で日中と夜間の温度差が大きく、高い降水量が見込め、豊かな土地があるエリアでの栽培が適しています。
一方で、マラゴジッペ種の弱点であるさび病に弱いという特徴を引き継いでしまっているため、しっかりとした管理体制が必要になっています。
パカマラ種の精製方法について
パカマラ種の精製方法は、ウォッシュド(水洗式)やナチュラル(非水洗式)はもちろん、ハニープロセスなど色々な方法で精製されています。
元々はウォッシュドでの精製がメインでした。
ゲイシャ種にも似た華やかな甘みとフルーティーさがあるため、その特徴を活かすためにナチュラルプロセスやハニープロセスなど色々なプロセスでの精製方法が模索されています。
パカマラ種のコーヒー豆の味わいや特徴とは?
パカマラ種のコーヒー豆はとにかくその豆の粒が大きいことで知られています。
一つの豆にたっぷりと栄養が詰まっているため、味は濃厚で、香りがとても豊かなのが特徴です。
グレープフルーツやオレンジなどシトラス系の程よいフルーティーさがありますが、酸味は比較的抑えめです。
また苦味も少なく、キャラメルやナッツ、バタースコッチなどに例えられるようなクリーミーなコクがあり、そのフルーティーさとコクの絶妙なバランスが人気を呼んでいます。
パカマラ種のコーヒー豆のおいしい淹れ方
パカマラ種のコーヒーは焙煎度合いにもよりますが、比較的どんな飲み方でも楽しむことができます。
またミルクとの相性も悪くありません。
しかし、香りやフルーティーさを売りにしている浅煎りのパカマラの場合は、ドリップコーヒーやフレンチプレスなどで抽出してブラックで飲むのがおすすめになります。
パカマラ温泉コーヒーについて
「パカマラ温泉コーヒー」とはエルサルバドルにあるサンタ・テレサ農園で栽培されているパカマラ種の豆をさします。
エルサルバドルは実に20以上もの火山が存在していると言われ、天然温泉が存在しています。
この豆は、天然温泉に囲まれた特殊な環境で栽培されており、ミネラルをふんだんに含んだ温泉水とコーヒーの皮を再利用した有機肥料を使っています。
芳醇なアロマと程よいフルーツ感、そしてナッツのようなしっかりとしたコクが特徴の豆になります。
大ぶりでしっかりとしたコクのパカマラ種を味わおう!
パカマラ種のしっかりとしたコクと軽やかなフルーティーさは、他の品種にはない絶妙なバランス感があります。
苦味は比較的控えめで香ばしさや甘さが強く感じられるので、コーヒーが苦手という人でも飲みやすい豆になります。
ぜひ、お店で見つけたら試してみてください。