近頃はスペシャルティコーヒーのお店以外でもかなり頻繁にイルガチェフという名前の豆をみるようになってきました。
フルーティーで香りが良く、急激に人気の出てきたイルガチェフとはどういう特徴のコーヒーなのか。
飲んだことがある人もない人も一緒にその魅力を見ていきましょう。
エチオピアの中でも最高峰のコーヒー”イルガチェフ”とは?
コーヒーのイルガチェフは、エチオピア南部のシダモ地区、標高2000m程のエリアにあるイルガチェフと呼ばれるエリアで採れるコーヒー豆のことをさします。
イルガチェフは現地の言葉で「湿地と草原」という意味があり、コーヒー発祥の地とも言われているエチオピアの中でも特に、豊富な水源に恵まれた地域になります。
また、朝晩での寒暖差が非常に大きく、土地も肥沃であることからコーヒー栽培にとても適した地域として注目を集めており、世界でも最高級のランクの豆が栽培されるエリアとして知られています。
エチオピアのコーヒー等級を解説
格付けの方法やグレードは国によって違いますが、エチオピアでは、コーヒーの豆の等級をG1〜8の8段階で格付けしています。
ただし、実際に輸出されるのはG5以上のものとされています。
このグレードは規定の量の豆の中に含まれる欠点豆(欠損豆)の数で決まっています。
最高グレードのG1は300gの豆の中に欠点豆が0〜3個であることが条件で、このG1を獲得できる豆はエチオピアの豆の中でもごく一握りの豆になります。
イルガチェフではこの最高ランクのG1グレードの豆を多く産出しており、コーヒー業界の中でも注目のエリアとなっています。
イルガチェフの歴史
現在は、コーヒー好きであれば名前くらいは聞いたことのあるイルガチェフですが、数十年前まではエチオピア・モカとひとくくりにされて、イルガチェフという名前が世の中に出ることはほとんどありませんでした。
しかし、スペシャリティコーヒーの波を受け、近年急速に農園や豆のクオリティーに対する理解と需要が高まってきました。
より品質の高い豆やユニークな味の豆を求めるバイヤーが増え、現在はエチオピアの中でも特別に注目されるエリアとなってきています。
イルガチェフの生産地や栽培環境について
イルガチェフはエチオピアの中でも比較的高度の高い2000m程のエリアにあります。
国によっては豆が栽培された土地の標高をグレードをつける際の条件に入れている国もあるほど。
栽培地域の標高はコーヒー豆の品質を左右する重要な要素の一つです。
イルガチェフは標高が高いので、昼夜の寒暖差が大きくなり、平均気温が20度前後と高くなりすぎない、コーヒー栽培に適した気候であるとされています。
また、エチオピアの中でも雨が多くふり水源に恵まれた地域であるため、土地が肥沃でコーヒー豆の栽培に非常に適した土地となっています。
最高品質のベレカG1が作れられる「シダモ地方イルガチェフ地区」
イルガチェフ地域の中で生産される豆は、高品質なものが揃っていますが、その最高グレードと言われるG1の中でも、さらに一歩上のレベルとされているのが、「ベレカ」と呼ばれている豆です。
ベレカは現地の言葉で「尊敬」を意味する言葉で、しっかりとしたフルーツのような甘みと紅茶のようなふくよかで豊かな香りで人気を集めています。
伝統ある自然的な農法で栽培する「コチャレ地区アリーチャ」
コチャレ地区アリーチャはイルガチェフ地域の中でも中心地から少し離れたところにあります。
土地が肥沃と言われるイルガチェフ地域の中でも、特にこのエリアは土地が赤褐色粘土質で覆われており水はけがとても良く、コーヒー栽培に非常に適した土地と言われています。
この地域で栽培される豆はベリーのようなしっかりとした甘みとバランスの良い酸味が特徴です。
イルガチェフの味わいや特徴とは?
イルガチェフで栽培される豆は、全体的にとても香りが良くフローラルでフルーティーな豆が多いと言われています。
もちろん豆や精製方法によって差はありますが、口に含んだ瞬間にローズやゆりのような芳醇な香りが鼻に抜け、フルーツ感のある甘みと酸味が口の中に広がります。
物によっては「レモンティーのような」と表現されることがあるほどすっきりとした味わいで、ベリー系やマスカット、ピーチ、青リンゴといったさっぱりとしたフルーツ感があるものがほとんどです。
全体的にすっきりとしたボディ感で、苦味やコクと言うよりも、紅茶のような軽やかさが特徴です。
ウォッシュドとナチュラル製法の味の違いは?
コーヒー豆は収穫された後、精製処理が行われて、グリーンビーンズ(生豆)として出荷されます。
精製処理には様々な方法がありますが、大きく分けるとウォッシュド製法とナチュラル製法という二つの精製方法に分けられます。
ウォッシュド製法の特徴
ウォッシュド製法は水洗式とも呼ばれ、コーヒー豆の周りの果肉の部分を機械と大量の水を使って取り除いてから豆を乾燥・熟成させます。
果肉を取り除いてから乾燥させることで、味はすっきりとクリアな味わいになり、繊細な味のレイヤーが生まれるのがウォッシュド製法の特徴です。
ナチュラル製法の特徴
一方で、ナチュラル製法は豆の周りに果肉を残したまま乾燥させ、完全に乾燥してから周りの実の部分を取り除きます。
豆に果肉の香りが映るため、独特な甘さと発酵感が残ります。
イルガチェフではウォッシュド製法が主流
イルガチェフ地域で生産される豆はウォッシュド製法で精製されることが多いと言われています。
イルガチェフ地域は雨が多く水が肥沃なため、水を大量に使うウォッシュド方式が可能であること、また雨が多い地域であるためしっかりと乾燥させる必要のあるナチュラル製法が難しいと言う理由もあります。
イルガチェフのおすすめ焙煎度
イルガチェフの良さを楽しむのであれば、焙煎度合いは浅煎りから中浅煎りくらいがおすすめになります。
実際にお店で販売されている豆もこれくらいの焙煎度合いのものがほとんどだと思います。
しっかりとしたフルーツ感とジューシーさを味わうのであれば、浅煎りでさっぱりと仕上げるのがおすすめです。
イルガチェフのおいしい淹れ方
イルガチェフはドリップやフレンチプレスなどで飲むのがおすすめです。
エスプレッソにする場合は、ミルクと合わせるよりもブラックのアメリカンかエスプレッソのままで、ジューシーな酸味とふくよかな香りを楽しむのがおすすめです。
ドリップで淹れる場合は、普段よりも少し粗めにひいてフルーツ感とフローラル感を引き出せるようにするのがポイントです。
また、夏場であればコールドブリューにするのもおすすめです。
しっかりとした甘みと香りがあるので、真夏の暑い時期にぴったりのアイスコーヒーができます。
最高級のイルガチェフ フレーバーを堪能しよう!
エチオピアでも最高品質と歌われるイルガチェフのコーヒー。
まだ飲んだことないという人はぜひ試してみてください。
コーヒーの苦味が苦手でも飲めた、
コーヒーの概念が変わった
という人もいるほどイルガチェフは人気のコーヒーです。
紅茶のような落ち着いた苦味と気品漂う香りで、今までとは違ったコーヒー体験ができるはずです。